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ナミテントウの斑紋について
2006.10.19 公開
2008.4.3 写真の追加および一部改訂

ナミテントウの上翅の模様(斑紋)には、様々な種類があります。





違う斑紋のナミテントウどうしでも、普通に交尾が行われます。




こうした様々な斑紋は、遺伝的に決まっています。

ナミテントウの斑紋を決める遺伝子は、ヒトのABO血液型遺伝子と同じように
複対立遺伝子(1つの遺伝子座に3種類以上の遺伝子がある)となっています。

ナミテントウの斑紋遺伝子には、主に、以下のような4種類が存在するそうです。
上翅の模様
斑紋のタイプ紅型二紋型四紋型斑型
斑紋遺伝子遺伝子hc遺伝子hsp遺伝子ha遺伝子

実際には、これら以外にも、もっと特殊な斑紋の遺伝子も存在するようです。

そして、1匹のナミテントウは
この4種類の遺伝子のうち、どれか2つの遺伝子を持っています。
その2つの遺伝子が組み合わさることで、さらに複雑な模様になります。

持っている2つの斑紋遺伝子が同じ場合には、翅の斑紋は斑紋遺伝子と同じになります。
紅型遺伝子+紅型遺伝子→紅型

2つの斑紋遺伝子が違っている場合には、
翅の斑紋は、黒い部分が重なりあったような感じになります。

紅型遺伝子+二紋型遺伝子→変形二紋型

四紋型遺伝子+二紋型遺伝子→二紋型

以上の法則から考えると、
斑紋遺伝子の組み合わせと表現形(実際の斑紋)の関係は、以下の表のようになると推察されます。
 
紅型遺伝子

二紋型遺伝子

四紋型遺伝子

斑型遺伝子

紅型
遺伝子

紅型

変形二紋型

変形四紋型

変形斑型

二紋型
遺伝子

変形二紋型

二紋型

二紋型

小二紋型

四紋型
遺伝子

変形四紋型

二紋型

四紋型

小四紋型

斑型
遺伝子

変形斑型

小二紋型

小四紋型

斑型

そして、
・二紋型・変形二紋型・小二紋型は、すべて二紋型とみなす。
・四紋型・変形四紋型・小四紋型は、すべて四紋型とみなす。
・斑型・変形斑型は、すべて斑型とみなす。
とした場合、ナミテントウの斑紋を、優性>劣性の順で並べると
二紋型>四紋型>斑紋型>紅型
となります。

もし、ナミテントウ集団に、斑紋を決める4種類の遺伝子が同じ割合(0.25)で存在していたとすると
表現形の割合は
 紅型遺伝子
頻度0.25
二紋型遺伝子
頻度0.25
四紋型遺伝子
頻度0.25
紋型遺伝子
頻度0.25
紅型遺伝子
頻度0.25
紅型
6.25%
変形二紋型
6.25%
変形四紋型
6.25%
変形斑型
6.25%
二紋型遺伝子
頻度0.25
変形二紋型
6.25%
二紋型
6.25%
二紋型
6.25%
小二紋型
6.25%
四紋型遺伝子
頻度0.25
変形四紋型
6.25%
二紋型
6.25%
四紋型
6.25%
小四紋型
6.25%
斑型遺伝子
頻度0.25
変形斑型
6.25%
小二紋型
6.25%
小四紋型
6.25%
斑型
6.25%
表現型の合計
紅型=6.25%
二紋型=43.75%
四紋型=31.25%
斑型=18.75%
となります。

実際には、この地域(長野県諏訪地方)でみられるナミテントウ斑紋の頻度は
これくらいだったので
紅型=6.25%
二紋型=84%
四紋型=7%
斑型=2.75%
遺伝子頻度は、おそらくこれくらいだろうと思われます。
 紅型遺伝子
頻度0.25
二紋型遺伝子
頻度0.6
四紋型遺伝子
頻度0.1
紋型遺伝子
頻度0.05
紅型遺伝子
頻度0.25
紅型
6.25%
変形二紋型
15%
変形四紋型
2.5%
変形斑型
1.25%
二紋型遺伝子
頻度0.6
変形二紋型
15%
二紋型
36%
二紋型
6%
小二紋型
3%
四紋型遺伝子
頻度0.1
変形四紋型
2.5%
二紋型
6%
四紋型
1%
小四紋型
0.5%
斑型遺伝子
頻度0.05
変形斑型
1.25%
小二紋型
3%
小四紋型
0.5%
斑型
0.25%



斑紋遺伝子には、ここまでに紹介した
明確な4種類の遺伝子(二紋型・紅型・四紋型・斑型)以外にも
中間的な斑紋のものも存在するようです。
紅型(斑型との中間体)
斑型(紅型との中間体)
斑型(四紋型との中間体)

様々なナミテントウの斑紋を比較検討してみたところ、
主な斑紋には、このような関係があるのではないかと予想されます。

類似・ヒメアカホシテントウ

二紋型

四紋型
4の斑紋が小さくなる。
3の斑紋が
なくなる。
1、5の斑紋がなくなる。
類似・ダンダラテントウ
2と4の斑紋がつながり、6の斑紋がなくなる

類似・シロホシテントウ

斑型
類似・ヒメカメノコテントウ
斑紋が
より明確に。
外周と胸部が黒くなる。
斑紋が大きくなり、互いにつながる。

紅型
斑紋が大きくなる。胸部の黒が増える。
斑紋ができる。胸部の黒が増える。
類似・キイロテントウ
※ダンダラテントウとヒメカメノコテントウの斑紋には、他にも多くのパターンがあります。

ナミテントウの斑紋のタイプを地域別に調べると
北に行くほど紅型が多く、南に行くほど二紋型が多いそうです。
そして、北のほうでも、だんだん二紋型の割合が増えているそうで
地球温暖化が原因ではないかと言われているようです。
ナミテントウの雌は85%の確率で黒地の雄を選ぶ、という研究報告もあるようです。

以上で、ナミテントウ斑紋についての考察を終わります。



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【参考サイト・参考図書】

ナミテントウ写真と絵
http://www.h2.dion.ne.jp/~usako/tento5.html
http://mushinavi.com/navi-insect/data-tento_nami.htm
http://blog.goo.ne.jp/norayamafarm/e/33ba35b74094ba65939dd2cc0bcf5850

キイロテントウ、ヒメカメノコテントウ、シロホシテントウ写真
http://members.jcom.home.ne.jp/fukumitu_mura/syu_k/koucyu5_1.html

ダンダラテントウ写真
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/HTMLs/dandaratentou.html
http://f39.aaa.livedoor.jp/~mael/insect/ladybug/dandarahime.html

虫の写真図鑑 テントウムシ
http://www.insects.jp/konbunkouten.htm

様々なテントウムシの仲間
http://home.n02.itscom.net/wad/u/umk4.htm

大阪府のテントウムシの見分け方
http://www2.mus-nh.city.osaka.jp/learning/Ent/Ladybeetle-key/size.html

ナミテントウの多型と温暖化など(PDF)※リンク切れ
http://flower.gs.niigata-u.ac.jp/~kifu/News/vol.1_5.pdf

ナミテントウの紋の地域分布と温暖化など(PDF)※リンク切れ
http://www.pref.saitama.lg.jp/A07/BB00/kagaku/taisho/pdf/04_01.pdf

ナミテントウ雌は黒い雄を選ぶ
http://www.toonippo.co.jp/photo_studio/insects/kouchu/tentou/column5.html

ナミテントウ斑紋多型の解明についての講演風景など
http://gene_rc.shinshu-u.ac.jp/kouen/koen26/koen26res.html

ナミテントウパターン
http://www2.mus-nh.city.osaka.jp/learning/Ent/Ladybeetle-key/harmonia-axyridis.html

テントウムシ写真・パターン
http://members.jcom.home.ne.jp/fukumitu_mura/syu_k/koucyu5_.html

「科学のアルバム58 テントウムシ」佐藤有恒著 あかね書房 1994

「ドキドキいっぱい!虫のくらし写真館7 テントウムシ」高家博成監修 ポプラ社 2003

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